
その名残として今でもスポーツ界などの教育の場で行われているのが、いわゆる精神論や根性論です。
「とにかく長時間課せられたことを繰り返し練習して忍耐を養え」というものです。
無意味だけでなく、実際に心身にダメージを与えるような訓練を長時間施して、その中で得た忍耐力こそが称賛される…
実際にこのような過酷な練習を耐え抜いて一流の選手になった人が存在し、そのような人が精神論を発言するために、あたかもそれが真実かのように“錯覚”してしまいます。
「血の汗流せ 涙をふくな」
これは大きなフェイクです。
まず、このような心身に過大なダメージを与える長時間課せられた訓練(しかもサイエンスに基づかない)で耐え抜いて一流の選手になる人は、極々一部というか稀な存在です。
その過酷で無意味な訓練(拷問と同じ(^_−)−☆)を耐え抜いてかつ第一線で活躍できるというのは、もともと糖のエネルギー代謝が高くて、それをなんとかキープできる環境(栄養、睡眠など)
を確保できたという稀なケースでしか起こりません。
実際は、ほとんどの人は心身を故障して、脱落しています。
高校球児を見てもよく理解できる。
夢の甲子園まで出場して活躍したとしても、プロ野球に行ける人はわずかで、しかもプロに入ってもそこで名を残せる人はほんの少数です。
感心したのは、桑田投手です。彼は、若い頃から非常に頭が良くて、無駄な長時間の練習や他から課せられたダメージを及ぼすようなタスクを排除しました。
そして、自分の頭で徹底的に考え抜いて、必要なことに集中し、誰よりも努力したのです。
それは、プロ野球の選手としては、体が小さかったということも幸いしたのでしょう。若い頃にメジャーリーグに行っていれば、確実に成績を残せたでしょう(外国人選手が証言している)。
プロ野球でも実績を残したのは、王、野村、門田、落合、イチローなど、プロの世界では決して体に恵まれなかった選手ばかりで、体の小さい自分に何が必要かを考え抜いたと思います。
さて、実際に長時間の無意味なタスクが心身に及ぼす影響を見ていきましょう。
最新の疫学的調査で、長時間の労働は甲状腺機能低下と相関することが報告されています。

その結果、労働時間が長くなるほど、甲状腺機能は低下していくことが明らかになりました。
注意ポイント
1週間に53~83時間労働するグループは、36~42時間労働する場合と比べて、2.6倍甲状腺機能低下になることが分かりました。
過去には1週間に55時間以上労働する人は、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病などのリスクが高まることが報告されています。

つまり、過剰なストレス下では、それに対応する糖のエネルギー代謝を支えるリソース(栄養、衣住環境など)が十分でないと、容易に甲状腺機能が低下するということです。
甲状腺機能低下(=糖のエネルギー代謝低下)は、糖尿病、心臓血管疾患などのメタボリックシンドロームと相関関係にあることが報告されています。
今回の研究では相関関係を示唆したものですが、ストレスがもたらす甲状腺機能低下のエビデンスからは、限りなく因果関係に近いと言えるでしょう。

実世界では、残念ながら、権力者に媚を売ることで手抜きしかしない人たち(=糖のエネルギー代謝が低い)がたくさん存在します。
それをカバーするために根性論や精神論で洗脳された人ほど、責任感をもって仕事を背負ってしまい、最終的に心身を壊してしまいます。
リアルサイエンスでは、この権力・権威者から課せられる根性論や精神論はまったく害悪でしかないことを明らかにしています。
正反対の「ゆとり教育」という罠も巧妙です。
こちらの方も、善悪を峻別したり、邪悪なものを退ける勇気や体力を低下させたりする内容になっています。

ポイント
自分の頭で考え抜いて、その時点でベストと考えることに集中することこそが、長時間の労働や訓練よりもずっと良い結果をもたらすだけでなく、忍耐力(=糖のエネルギー代謝、甲状腺機能依存)もより養われ、私たちの心身のエネルギー代謝にとってもベストであることを教えてくれているのです。
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